ソムリエ・ワインディレクター 田邉公一のブログ

ソムリエ・ワインディレクターである田邉公一 自身の仕事への考え方を、日常の中から綴ります。

貴 「癒しと米味」

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山口県宇部市からお越しいただいた「永山本家酒造場」の永山貴博さんをお迎えし、山口県民同士の、念願のコラボレーションがついに実現。


20名様限定でのディナーは、リリース後すぐに満席。


決して安価ではないディナーが、あまりにも一瞬で満席になったことに、貴さんからも驚きのコメントが送られてきた。


当然ながら、プライス以上の価値を提供することが求められるが、どの仕事に向き合う時も、「必ず金額以上の価値を提供する」が、私のポリシーの一つである以上、満足していただくための準備には、一切の妥協をせず、今回も自信をたっぷりと備えた上で、当日を迎えた。


そして、その自信を持つことが、ゲストへの礼儀であり、プロとしてのマナー。


いつもそう考えながら日々を過ごしている。



事前に「貴」のラインナップを、平野シェフと共に全てテイスティング

まず私が、供出順とストーリーを作成して、シェフと二人で、お互いの連想食材を出し合い、最後にシェフがコースを仕上げていくという流れの元、この日限りのペアリングコースが完成した。



「癒しと米味」


日本酒造りにおける、貴さんのキーフレーズ。


まさに「貴」の日本酒を味わうと、その言葉が心に染みる。


そして、貴さんもおっしゃられていた

「米にもテロワールは存在する」


これは、私のペアリングテーマでもあり、今回、お伝えしたかったことの本質部分は、そこにあった。


「ワインも日本酒も同じ醸造酒」


この言葉は、先日訪問させていただいた造り手の方が、繰り返し、繰り返し、おっしゃられていたメッセージ。


メモを何度も何度も読み返し、考えた。


その教えを受けて以後、日本酒への向き合い方が、明らかに変わった。


「ルーツをたどる」


あらためて、この言葉を心に焼き付けた上で、これから全てのものと向き合っていくことを決意した。



「Bénédiction」 感謝の祈り

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神戸ディナーのメインペアリング。


神戸 ローストポークに合わせたのは、神戸ワイナリーが誇る赤「Bénédiction」


そのワイングラスの縁に、明石のウィスキーをリンス。

こうすることで、二つの飲み物をブレンドすることなく、口の中でフォーティファイドワイン(酒精強化ワイン)が完成する。


当初、グラスの中を、あかしウィスキーでリンスし、その中に赤ワインを注ぐことも考えた。


だがその場合、初めからブレンドしてしまうため、それぞれの飲み物の香り、味わいを感じてもらうことができない。


そこで考え出したのが、カクテル、「マルガリータ」からインスピレーションを得たこのスタイル。


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あかしウィスキーを、グラスの縁の部分にだけリンスすることで、鼻を近づけると、ウィスキーと神戸ワイン、それぞれの香りを同時に感じることができ、鼻腔の中で融合する。


そして、口に含むと、あかしウィスキーと神戸ワインの味わいが複雑に絡み合い、兵庫をテーマとした、フォーティファイドワインが、口中で完成する。


それを、地元神戸のローストポーク、そして、フォーティファイドワインであるマデイラを使ったソースに、フレーヴァー、テイスト、テクスチャーをマリアージュさせる、地元食材、飲み物の融合をテーマにした、この日のために生まれたペアリング。


「Bénédiction」とは、

「祝福、感謝の祈り」という意味。


今回のディナーにかける想いを、この一杯のグラスに込めて。


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原点

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神戸 「KITANO CLUB」でのディナーイベント  終幕。


17年の時をタイムスリップ。


私がソムリエを目指すきっかけとなった場所。


時の流れ、その大切さ。

変化するもの、そして変わらないもの。


沢山の想いを背負ってのディナー。


2002年、北野クラブ卒業の年に取得したワインエキスパートバッヂ。


このブドウのバッヂは、ここで修行したことの全てを形にしたもの。


そして2018年、私自身の最新の資格となる、SAKE DIPLOMA INTERNATIONALのバッヂ。


この資格は、その後の様々な時間を経て、今の自分の変化を形にしたもの。


「始まりと今」という想いを込めて、初めて、この二つのバッヂを同時に付けて、ディナーに臨んだ。


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東京、猛スピードで過ぎ行く時間。


一瞬、時を止めて、原点を思い出させてくれる街、神戸。


なぜ、その道を選んだのか。


なぜ、続けてこれたのか。


なぜ、今の自分があるのか。


誰のおかげで、今、自分はこうしていられるのか。


久しぶりにゆっくりと、深呼吸をして考えることができた。


今回も、多くの素晴らしい方々と、大切な時間を共有し、人と人の繋がりの大切さ、縁という存在の深さ、奇跡の連続によって、今のこの時間が、目の前に存在することを、深く実感した。


そして、挑戦することの大切さもまた、身に染みて感じることができた。


ずっと、

私がどんな状況や立場にいたとしても、新米であっても、先生と呼ばれるようになっても、タイトルを取っても、取らなくても。

変わらない接し方で、いつも暖かく、周りで支えてくれる仲間たち。


「原点」にしっかりと向き合えたことで、「今」をもっともっと大切に生きようと思えた。


今がまた将来、きっと原点になる時がくる。


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自分の強みとは

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昔、「ストレングスファインダー」という本があることを教えてもらい、試してみた。


この本は、あらゆる角度からの質問に答えていき、「自分の一番の強み」は何なのか、を知ることができるというもの。


「自分で自分の強みがわからない」という人は意外にも多く、私もその一人だった。


つい先日、飲食店に勤める、若いスタッフから、今後の人生についてのアドバイスを求められた。


私の答えは一つ、「自分の強みを理解して、それをとことん追求すること」


自分の一番の強みをしっかりと理解し、周りの人のためにその力を最大限に発揮する。


究極、これができれば、生涯にわたって、多くの人を幸せにできるし、自分もきっと幸せになれる。


だがしかし、自分の強みを見つけることは、思っている以上に難しい。


ストレングスファインダーによると、私の一番の強みは、「最上志向」


これは、「良いものを、より良くしていくことに長けている」ということ。


講師やコンサルタントの仕事に行きついている今、それがとても理解できている。


もちろん本に頼るだけでなく、

自分の「内なる声」に耳を傾けながら、生きていくことが大切だ。






集中力

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沢山の情報を瞬時に手に入れることができるようになった現代社会。


つまり、「一つのことに集中することが難しい」時代が訪れた。


スマートフォンが普及し、SNSが発展してきたことで、「常にスマートフォンが気になる」という人が、増えてきた。


ただし、一つのことに集中しないと、なかなか、あることで結果を出すことは難しい。


こういう時代だからこそ、「いかに集中力を

発揮できるか」が、成果に大きく反映する。


「集中力」という本が、ロングセラーを記録しているらしい。


「集中する」というのは、「一つのことにフォーカスする」こと。


仕事や勉強をしようとしているスペースから、いかに他のものを排除できるか。


そういう意味で、

集中力というのは、「他を排除する力」とも言える。


無限に目の前に広がるものの中から、どこまで一つに絞りきれるか。


そういった、集中力の有無が、今、まさに問われる時代がきている。


集中力があるからこそ、時間を沢山生み出すことができ、自由を手に入れることができる。












【クレド】

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2007年 ザ・リッツ・カールトン東京オープン。


このホテルのオープンがなければ、きっと自分は、今、東京にはいない。


オープン当初、

「言葉として理解できていないことは、行動に移すことはできない。」

という教えを受けて、

このカードに書いてあることを、暗唱できるレベルまで、完全に記憶した。


サービスの本質が詰まった、この小さなカード。


「心のエネルギーが落ちてきている」と感じた時は、必ず読み返すようにしている。


リッツ・カールトンで学んだことは、とてつもなく大きい。


クレドを読み返すことで、その時の苦しい局面、自分で納得できなかったサービス、自分を褒めてあげたかったサービス、いろいろなことが記憶に蘇ってくる。


今、自分の名前で仕事ができているのも、リッツ・カールトンでの経験があったからこそ。


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最後のフレーズ


リッツ・カールトンでお客様が経験されるもの、それは、感覚を満たすここちよさ、満ち足りた幸福感、そしてお客様が言葉にされない願望やニーズをも先読みしておこたえする サービスの心です。」


まさにサービス業における究極の一文。







言葉にできるは武器になる

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 「言葉」を生みだす仕事をしているものとして、刺さる「言葉」が、凝縮された一冊。


線を引いたり、ドッグイヤーをするページが多い本に、最近、なかなか出会わなかったけれど、この本は、違う。


それだけに、一回読んだだけでは、なかなか自分の考え方にまで落としこめない。


何度も熟読し、ただ読んで理解するだけではなく、読みながら考えて、考えを深めていく必要がある。 


最近は、ひたすらたくさん本を読むのを目的とせずに、「密読」を意識している。


良書に出会ったら、完全に自分の意識に擦り込めるところまで熟読すること。



今回出会えた、このフレーズ。


「スキルで言葉を磨くには限界がある。スキルはあくまでも、その人自身の経験から抽出された方法論であって、同じ経験をしていない第三者が真髄までを理解することはできない。」 


これはまさに、講師業にも言えること。


伝え方は真似できても、自身の体験や経験が、バックボーンになければ、本当の意味で、相手には伝わらないし、響く言葉は生み出せない。